
2025/02/25
【後編】杉山博一氏が創る未来 ― 社会が求めるつながり価値とは ―
たにぐち
前編では、オシロ株式会社が手掛けるコミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」(以下、「OSIRO」)は、「お金とエール」を生み出し続けるために“「人と人が仲良くなる」仕組みとしてつくられたことをお話いただきました。後編では、杉山氏が目指すアーティストやクリエイターが活動し続けることで創る未来について、そしてコミュニティが生む価値についてお聞きしました。
杉山博一オシロ株式会社(https://www.inflorescence.co.jp/) 代表取締役社長
1973年生まれ。アーティストやデザイナーとしての活動を経て、32歳の時に日本初のIFA(独立系資産アドバイザー)金融サービスを共同創業。退任後、ニュージーランドと日本の2拠点居住を経て「日本を芸術文化大国にする」というミッションのために東京に定住し、2017年オシロ株式会社設立。
目次
杉山 博一さん(以下・杉山さん)
オシロのミッションは「日本を芸術文化大国にする」です。オシロを設立する前、1年のうち半分近くをニュージーランドで過ごしていて、いずれニュージーランドに移住しようと思っていました。行き来しながら向こうで何か事業を起こしたいと考えていたのですが、ある日、ニュージーランド行きの飛行機に乗れないという出来事が起きたんです。何度も足を運んでいたニュージーランドに、この日突然いけなくなってしまった。そんなこと普通起きないじゃないですか。
そんな起きないけど、起きてしまったそのことを「日本に残れ」というメッセージと受け取ったんですね。同時に「お前はまだニュージーランドに行ってセミリタイアするには早いぞ。日本を芸術文化大国にしなさい」と天から命じられた気がして。
それまで日本はこの先どうなってしまうんだろうと他人事のように思ってましたが、以来「どうすれば日本を芸術文化大国にできるか」というスイッチが入り、一生懸命考えるようになりました。
杉山さん
「日本を芸術文化大国にする」という志を持つことで、自分が生かされている理由が明確になりましたし、何事においても迷いがなくなりました。
今までの自分は土台にありますけど、志なんてなかったわけですよ。自分で表現したいから、表現活動をする。デザインを求められるから、プロとしての品質で提供しなきゃいけないという感じでした。しかし、今は「日本を芸術文化大国にする」という自分の使命をどう達成していくか、その一点だけに全力で集中するようになりました。
僕はそれまで、決まった時間に決まった場所に行けなかったけど、志を持ってからいけるようになりました。 ニュージーランドでの暮らしは100%満足していましたが、志を持ち、それにフルコミットしている今は人生が1000%楽しくなりました。
杉山さん
ブランドもアーティストやクリエイターと一緒なんです。最初はたった一人の想いから始まっているじゃないですか。このブランドの良さを届けたい、より多くの人に届けて使い続けてほしいという根っこからの想いは、アーティストやクリエイターが創作活動を続けたいという想いと何ら変わらないです。
そこに、誰でも参加できるSNSでは、ファンの安心安全が保てないといった課題を持つと、ファンのためにクローズドなコミュニティを持ちたいという考えになるのは自然なことだと思います。
杉山さん
マーケティングでもいわれていますが、これまで情報や機能面に価値を感じていたところから、イベントや参加型のコンテンツといった体験に価値を感じるように変化していったと思います。そして、今はその次のステージである「つながりに価値を感じる」展開を迎えています。
つながりを求めているし、つながりの方が価値を感じやすくなっている。昔は雑誌などを買って情報を仕入れることに喜びを感じていたけど、今は、インターネットで誰もが手軽に情報を入手できるので、情報が当たり前というか貴重ではなくなりました。だけど、その価値観に共鳴し、共感する人たちが集まるイベントに参加して友達ができると嬉しい。共通の価値観を持つ人同士で良質なつながりが生まれることに価値がある。そういう時代なんじゃないかなと思いますね。
杉山さん
最近、「OSIRO」を社内のコミュニケーションツールとして使いたいというお問い合わせを企業からよくいただきます。とくに大企業からのお問い合わせが多いんですよ。社内で使用するコミュニケーションツールって世の中にたくさんあるのに、アーティストやクリエイターのためにつくった「OSIRO」を選ぶなんて最初は不思議だったんですよね。
でも、企業の中におけるコミュニケーションがエンゲージメントや社員幸福度に重要であるものの、その活性化、方法に課題を持っているという現れだと思います。「人と人が仲良くなる」ことで生まれる居場所をこれからも「OSIRO」を通して提供できればなと思いますね。
杉山さん
ぼくは6年ほど前に、お酒をやめたんです。それからは甘いものを欲してます。アイスやケーキが好きなんで例えばケーキ屋さんをひたすらめぐる。そうすると、どこのケーキが好きかってわかってくる。次にそのお店のケーキを全部食べないと気が済まなくなって、全部食べた結果このケーキが好きだ!と。とことんはまって、スキを見つける感じです。
あと、アーティストの中でも無名なアーティストが好きなんです。まだ世の中に出てないアーティストの作品を見つけて、いいなと思ったら「これ、売ってもらえませんか?」と頼んで買っています。だいたい芸大生や美大生の作品を買うことが多いですけど、自分の作品が数万〜数十万円でもいいから、売れたっていう経験は大事ですよね。
有名な作品を買うのはぼくじゃなくてもできる。そういう思いで購入した作品はオフィスにも30点くらい飾っています。
―杉山さん、ありがとうございました。
編集者たにぐち
最近のモヤモヤは、「なぜ、こんなにもこの方に惹かれるのだろう?」と惹かれる理由を言語化できずにいること。もしかすると「志」の有無が関係しているのかも・・・。
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